トロンは、スマートコントラクトを実行し、分散型アプリ(dApps)の構築に使用できるオープンソースのブロックチェーンプラットフォームです。イーサリアムと機能が似ており、独自のブロックチェーンに切り替えるまで、イーサリアム上に構築されたトークンとしてスタートしたこともあります。
発売以来、TRONはdAppsやその他のプロジェクトで大規模なエコシステムを構築してきました。しかし、コードをコピーしたとする批判や、TRONのCEOが仮想う通貨のポンプ&ダンプ詐欺で儲けたとする批判があり、物議を醸しているのも事実です。
本記事では、そんなトロンについて初心者向けにわかりやすくまとめてみました。
トロンとは?
トロンは、開発者が従来のネットワークのような高い取引手数料や遅延を負うことなく、分散型アプリケーションやスマートコントラクトを作成できるように設計されています。
またトロンはコア層、ストレージ層、アプリケーション層の3層アーキテクチャを採用しており、委任型Proof-of-Stake(DPoS)アルゴリズムを採用しているため、一人の人間がネットワーク内の複数のノードをコントロールすることがないようにしています。
2018年の発売以来、トロンは人気とユーザー数を大きく伸ばしました。TRXを保有するユニークウォレットは2,600万を超え、ユーザー数の合計は1億人、トロンのスマートコントラクトの数も増えています。現在、トロンのエコシステム内で構築されたdAppsは600個近くあります。これらの取り組みは、エコシステムの成長を支え、複数のコミュニティ主導のプロジェクトに力を与えています。
トロンの特徴
イーサリアムと同様に、トロンはアカウントベースのモデルを採用しており、そのプロトコルが発行する秘密鍵は、トロンとトロントークンの両方の残高へのアクセスを制御できることを意味します。
そして、トロン・ブロックチェーンは、このデータの交換を3つのレイヤーでルーティングします。
コア層
JavaまたはSolidity(イーサリアム用に設計された言語)で書かれた命令を計算し、ロジックを実行するTron Virtual Machineに送ります。
アプリケーション層
開発者がトロントークンを搭載し、ソフトウェアと互換性のあるウォレットやアプリケーションを作成するために利用されます。
ストレージ層
ブロックチェーンのデータ(ブロックチェーンの履歴の記録)とその状態データ(スマートコントラクトの状態を保持する)を区分するように設計されています。
委任型Proof of Steak
トロンは台帳のコンセンサスを得るために、27人の「スーパーノード」が交代で取引の検証やシステムの履歴の管理を行うシステムを採用しています。
スーパーノードは6時間ごとに選ばれ、選ばれると、プロトコルで生成された新しいTRXを収集する能力を得ることができます。
ブロックは3秒ごとにブロックチェーンに追加され、有効なブロックを生成した人には、32TRXが授与され、年間合計で336,384,000TRXが授与されます。
スーパーノードに加え、ユーザーはブロックチェーン上で3種類のノード(ウィットネスノード、フルノード、ソリディティノード)を操作することができます。
トロンの歴史
トロンは、2017年にサン・ジャスティン氏によって設立されました。トロン財団は、2017年7月にシンガポールで設立されました。
トロン財団は、中国がデジタルトークンを非合法化する直前に、2017年にイニシャルコインオファーで7000万ドルを調達しました。
その後、テストネット、ブロックチェーンエクスプローラー、ウェブウォレットは、2018年3月までにすべてローンチされました。
TRONのパートナーシップ
トロンはかなりの数のパートナーシップを結んでいます。
ブロックチェーン・プロジェクトでサムスンと協業しており、サムスンの携帯電話の内蔵ブロックチェーンウォレットではトロントークンを受け取れるようにしています。
またトロンは2018年にBitTorrentを1億4000万ドルで買収し、その後BTTトークンとBitTorrentエコシステムをTRONブロックチェーン上に構築しました。
2019年には、仮想通貨取引所であるPoloniexに投資し、Poloniexは、その手数料がトロントークンで支払われる場合、取引手数料の割引サービスを提供しています。また、TRONの分散型取引所であるTRXMarketも買収しました。
デスクトップとモバイルのウェブブラウザOperaは2019年、内蔵の暗号ウォレットにトロンのサポートを追加しました。
トロンのリスク
トロンの最大の問題は、数年間CEOを務めたその生みの親といえます。ジャスティン・サンは、トロンを利用したポンプ&ダンプ詐欺で儲けたとする批判があり、TRONの評判を傷つけました。
また、トロンは他のプロジェクトをコピーしているとの批判も受けたことがあります。2018年1月、Protocol LabsのCEOは、トロンのホワイトペーパーは他のプロトコルのホワイトペーパーの一部をコピーしているとツイートしました。2018年2月には、トロンのコードベースに他のプロジェクトのコードのコピーが見つかったとする報道もありました。
まとめ
トロンを取り巻く論争は耐えませんが、時価総額では上位の仮想通貨にランクされています。パートナーシップを多く結んでいることやアーキテクチャなどを見てもポテンシャルは準分なので、投資対象として検討してもよいといえます。
トロンは、最も広く使われているブロックチェーンの1つです。8500万以上のアカウントを持ち、30億以上のトランザクションを処理しています。2021年9月、TRONはブロックチェーンの総取引量において、イーサリアムに次いで2位となりました。
トロンエンターテインメント分野に特化しているため、ブロックチェーン・プロジェクトの中でも独自のニッチな市場を形成しています。BitTorrentを買収したことも、ここでの展開の鍵になるかもしれません。また、開発チームが強力である点も評価されています。
とはいえ、他の仮想通貨と比較しても、トロンはリスクの高い投資先であることを頭に入れておきましょう。
また情報が入り次第、随時更新していきます。